「広島県農業ジーンバンク」事業の再考を求める意見書

市民の方からの意見書の提出を求める請願の求めがあり、2023年 6月14日、以下の意見書を提出しました。

 

 

「広島県農業ジーンバンク」廃止に際し、県民、国民の食糧安寧と食の安全・安心を守り、県の特色ある農業の持続的発展と、食糧の安定供給を確保するため、「広島県農業ジーンバンク」事業の再考を求める意見書

 

 

 広島県農業ジーンバンクは、在来種が失われる危機感からその保存とその再活用を目的として、1989年に県主導で設置しました。農業改良普及員の経験者が最適な栽培方法や食べ方の情報を蓄積しています。

 もう一つの特長は一般農家への配布量以上の種を返すことを条件で無料貸し出しで。種取り方法や栽培方法の指導結果「広島市の観音ねぎや笹木三月子大根などの復旧」「福山市の青大きゅうりなどの復活」など成果をあげています。

 

 その事業が、県や財団は県民や利用者の意見を聴くことなく2023年3月31日を持って廃止されました。その内容は保存されている種子約18,600点の内、約6,000点を国立研究開発法人 農業・食糧産業技術総合研究機構に譲渡し、県が育成し有用とする135点を県農業技術センターで保存。残りは希望者へ配布や廃棄をする方針です。

 

 種子には、伝統的な自家採種などにより植物の持つ性質や形といった形質が受け継がれた「固定種」と、現在多くは異なる優良な形質を持った親を掛け合わせて作る「F1品種」の2種類があります。現在は大半が「F1品種」の1代限りの海外物が多く、栄養価は1/3~1/5と減り、毎年新しい種を購入し種も毎年高騰し費用増加になっている状況です。次は、ゲノム編集の種子、遺伝子組換えの種子と予想されています。

また、食糧安全保障から日本は先進国中では最低の自給率37%を切っており、種と肥料を考慮すると10%に届かないとも言われています。近年の豪雨等、地球温暖化による気候変動により種を蒔いても思ったように育たない事が予想されます。更に国同士の対立による輸出の停止、輸入規制など日本を取り巻く食糧環境は予断を許しません。

 

 従いまして、地域の伝統的な在来種を発掘調査して、保存管理していく中で持続的発展及び永続的な食糧の安定供給を確保する為にも、広島県在来作物種子を守り有効活用しながら、未来に引き継がなければなりません。

 私達の命の種はタネであり命を繋ぐ事はタネを繋いでいくことから「広島県農業ジーンバンク」事業の再考を強く要望します。

(提出先)

広島県知事 湯崎 英彦 様

 

広島県議会議長 中本 隆志 様

 

嘆願書の採択結果は以下のとおりでした。